+ 短編集.....RUISA +






+ 涙砂 +
言の葉のカケラたち




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わたしの愛した人たち
わたしの大切な友達
みんな幻
夏の日の陽炎・・・



つかみ損ねた時は
まるで風のようです

伝え損ねた言葉は
まるで月のようです



慎重?
臆病なだけ・・・
大胆?
無謀なだけ・・・

いつだって裏と表があって
都合よく使い分けてるだけさ・・・

真実なんて
自分にだってわからないときがあるんだよ



忘れてしまいたい事は
その思いほど深く刻まれているわね

複雑な色が絡み合う過去

思い出せなくなるくらいの
永い時間を眠りたい



時間・・・、不思議な単位

消費するもの?
積み重ねてゆくもの?
現在・過去・未来を往き来するコトバ・・・

時間・・・、正確で不規則な単位

わたし達は
その隙間を縫って生きている



もうわたしを引き止めないで
わたしの明日を否定しないで

結局はあなたの責任じゃないし
あなたの押し付けた意見は
わたしのミスにされてしまうんだから

わたしは自分らしく生きたいだけ・・・



もっと君を愛すればよかった
もっと君を・・・

愛し続けるのを放棄したのは
ボクなのかもしれない・・・



夢はどこにも落ちていないから
目を凝らして探してもダメね

心のどこかに見つけてくれるのを待って
じっと蹲っているわ



愛の大きさを推し量ろうとすれば
物足りないものばかりが見えてくる
言葉の裏側を覗き見ようとすれば
真実の輪郭までがぼやけてしまう

でも
傷つきたくなくて
泣きたくなくて
愛の迷宮で立ち尽くしてしまう



忘れたい事に限って
思い出さえリアルで哀しいね

忘れたくない事は
現実の中で埋もれていくのに


もうダメだって思ったとき
前向きに倒れるのかな?
それとも後ろ向き・・・?

そこまで頑張れてないわたしは
俯いて立ち尽くしてるかもしれない



花暦は藤の花を咲かせ
静かに時をめくる

季節の境にまで埋められた
ほのかな花の香り・・・

たおやかな花の命・・・



この地球上で
最も必要の無いもの・・・人類

人間の欲望が
すべてを汚し、破壊した

知性とは
この世で最も悪意に満ちたもの

愛だとか、夢だとか
都合の良いコトバにすり替えて
いつも大切な何かを蔑ろにしてる

本当の狂気を知りもせずに



どうにもしようがない事に
躍起になって向かう姿は
さしずめピエロのよう・・・?

けれど
見方を変えればステキに見える

そう
荒野の風に向かい立つ
ライオンのように・・・



一瞬の夢は終わったわ

心の隙間を埋めることの無い
一瞬の夢・・・

見たくもないものを見ずにすんだ一瞬は
わたしの表情(かお)に安らぎを齎したのに

明日からまた仮面を纏うわ
自らの心を護るために・・・



あなたたちが誰を愛していようと
あたしには関係ないわ

あなたたちが誰を憎んでいようと
あたしには関係ないわ

あたしはあたししか愛せないし
あたしはあたししか憎めないもの・・・



お掃除の途中で見つけた
思い出のカケラ
笑顔のあたしを見つけた

きっと
もう取り戻せない時間

あの頃大切だったモノは
もうここには無く
懐かしさの想いとともに
そっとしまった・・・



帰り道の夕方に夏の匂い
残照を光の粒に変えた海は
いつもと変らずそこにあって
いつもと同じように日々を見ている

あの忌まわしい記憶の夏から
何度目の夏を迎えるのかしら

忘れたい過去・・・

でも
忘れてはならない過去・・・



そこにもう
何の想いも存在しないと知って
わたしは心を開かなくなった

今まで大切にしまっておいたのに
扉の向こうに虚しい空間

この心の扉に鍵を・・・



しのつく雨
紫陽花の花
深き藍の情景

夏の序章
雨のfesta


瞼を閉じればそこには
愛しい思い出と
たくさんの笑顔・・・

もう戻らない日々

瞼閉じていても
溢れ出る涙・・・



降る雨
舞う雨
落ちる雨・・・

街を濡らす
杜を濡らす
心を濡らす

波濤の海に帰るために・・・



ここには私以外誰もいない
制約も無ければ約束も無い
独りという自由

雑踏の中で思い知らされる
会話も無ければ待つ人もいない
独りという孤独

泣くことは独りでもできる
笑うことは出来る筈もない
独りという事実



ときめきと躊躇い
伝えられぬ想い

どんなだったかしら

もう思い出せないわ
愛に終始した日々



朝の街は深い霧に包まれています
乳白色に絡め取られるような深い霧・・・。
静かに眠りに落ちるには
うってつけのシチュエーションかもしれません
静かに、深く、
深海のような眠りへの誘い・・・。



誰かを愛するということ
それがとてもステキな事を
ときめきが輝きに代る事を
記憶のどこかに憶えてる

愛を喪失するということ
それが何よりも哀しい事を
涙が翳りを生み落とす事を
記憶のどこかに刻んでる

愛という一色(ひといろ)だけで
心を染めることなんて
きっともう出来ない



無理をすれば辛いことばかり
自然体で生きれたらいいな・・・
あるべきものはあるべき場所に
なすべきものは成すべきときに
無理して笑わず
涙を耐えることなく
夢はゆめとして
たゆとうジェリーフィッシュのように
命の海にその身を任せ
必要に応じただけゆらゆらと・・・



いつだってこの窓の内側にいて
外ばかりを見ていたような気がする

窓の外の住人は
だれもあたしを愛さない

窓の外の住人を
あたしはだれも愛さない

真実なんて
何一つ見えていないくせに・・・



もう2度とおとずれる事のない幸せ
一瞬の輝き・・・

今はただ
薄れゆく残像をつなぎ止める術もなく
目を伏せて心の闇に見送るばかり

こんなわたしにも
幸せや温もりの記憶はあった

輪郭のない
哀しみの淵に沈むまでは・・・



置き去りにした夢
見過ごした時間

色褪せた記憶

知りすぎた嘘
許せない背徳
散り散りの愛

影だけの一人歩き


記憶を失くせたらいいのに・・・
自分の持ちうる
アイデンティティーのすべてを
失くしてしまえればいいのに

自分が誰だったのか
どう生きてきたのか
何もかも忘れられたらいいのに・・・

心を一枚の白紙にしてしまいたい



愛は永久ではないと知りながら
悠久の夢を重ねてしまう

どれほどの失望を繰り返しただろう

そこには悠久と言う名の
永遠の愛は無かった

寂寥の日々が無ければ
ぬくもりを求めずに済んだものを・・・



大切な約束・・・
どうしてこんなに脆いのかしら

過ぎた日の言の葉・・・
どうしてこんなに儚いのかしら

嘘はいつだって永遠に嘘のままなのに



愛という名の嘘と
それを失うことの儚さ
何もかもが打算という名の残酷

時を刻むせつなさと
時を止めるという失望
何もかもが葛藤という名の無残



あなたにとっては記憶
あたしにとっては思い出

あの日の笑顔を切り撮った
色褪せた写真

少しの違い

でも
大きな違い・・・



人はみな愚かで
誰もが罪悪の上に生きている

不条理と嘘と妥協

真実に怯え
居心地のいい盲目を使いこなし
自らの翳を振り払うように生きている

人はみな
命という時間(とき)の盗人



また一日が終わる
日々を過ごす事は時を積み重ねることなのかしら?
それとも時を削り取ることなのでしょうか?

人それぞれにその意味は違うかも知れないけれど
永遠が在りえないものなら
それはきっと削り取る事なのかもしれない・・・



一瞬の躊躇いの後に見せたあなたの笑顔
何か言いたそうな寂しそうな笑顔
その意味を聞くのが恐くて
そこにある真意を知るのが恐くて
曖昧に話をすり替えたの・・・

遠いあの日のあなたの心

いまならわかる
今なら・・・

同じように微笑んでしまったから





あたしの心は氷の鈴

あたしの命は氷の鈴







泣ければきっと楽になれる
でも
もう泣くこともできなくなってしまった
時間の残骸に埋もれて
何もかもが虚ろな夢物語・・・







夏に思い出すのはいつも学生時代のこと

何もかもが刹那的な事ばかり・・・

わたしは今、生きているといえるのかしら





燃えて
心焦がして盲目になって
激しく愛し合い
溶けるように抱かれて
そう遠くもない明日にすべてを失くして
思い出の中のほんの句読点にしかなれず・・・

通り雨のような恋は哀しいね

気がつけば
ずぶ濡れで立ち尽くすばかりだもの