+ 短歌.....妙花風..........





+ 幻夜 +
誰がために
乱れ咲きけり
艶姿

月夜に妖し
白梅の笑み





+ 旅立ち +
卒業に
彩り添えて
霞みたつ

菜の花灯りに
君の背は映ゆ





+ 一語一重 +
尋ね来て
人の出会いを
かえりみる

一期一会の
重き言の葉





+ 桜通り +
裸樹の
幹に枝にと
芽吹く夢

明日の陽光(ひかり)に
愛の花咲く





+ 恋唄 +
恋唄に
こころ揺らぎし
雨の宵

過去(とき)の行方を
君尚知るや




+ 橘 +
枳殻(からたち)の
花を手折りし
垣根あり

清(すが)しき白に
想い偲びつ





+ 別離 +
間際まで
吾を求めし
祖母の目は

涙を溜めて
別離伝えむ





+ 翠萌え +
吾もまた
桜なりきと
右近萌え

奥ゆかしきは
彩(いろ)となるらむ





+ 憧憬 +
川辺にて
水面に在りき
輝きの

粒を集めて
君の頬染む





+ あの日 +
時間橋
君と訪ねし
青の春

刻(とき)を留めて
咲く山桜




+ 桜舞 +
桜花
いざ散るものと
機を求め

理(ことわり)故に
風に舞い落つ





+ 輪廻 +
野辺に朽ち
土と帰りし
老木の

重き歴史を
誰や知るらむ





+ 舞砂 +
忘れじと
誓いし愛の
色は褪せ

波にたゆとう
砂となりけり





+ 妖華 +
浮世華
欲を食らいて
夜叉となり

闇を背負いて
狂い咲きけり





+ 人思ひ +
人の世に
泣きつ失しつ
世を偲び

ささやかなりき
喜びに生く




+ 宴 +
時温み
誰(た)そ吟詠に
聴き入れば

桜(はな)戯れて
風と舞う也





+ 修羅 +
黒き川
これが三途と
誰ぞ知る

荒涼たるは
夢か現(うつつ)か





+ 花埋み +
降り積みし
甍(いらか)を染めて
桜舞う

訪(おとな)う者を
暫し留めむ





+ 娘 +
内海(うちうみ)の
静けき波の
浜辺にて

波と戯る
我が子愛しや





+ 笑み +
待ち人の
姿見えじと
眺むれば

息を切らせて
走りくる君




+ 彩暦 +
野辺に咲き
時候(とき)を記すや
花暦

儚きゆえに
愛でて手折らず





+ 唱歌 +
黄昏に
唄いし歌も
遥かなり

教科書にさえ
今は無きかな





+ 凛 +
陸奥(みちのく)の
降り積む雪に
音ありて

心に聞こゆ
白き囁き





+ 失意 +
髪を截(た)ち
すべてを捨てて
去らんとす

鋏の音の
潔きかな





+ 静寂 +
木漏れ日を
集めて掬(すく)い
掌(てのひら)の

ブナの緑の
淡きぬくもり




+ 未だ知らず +
待ち人の
還らざる事
君知らず

想いの詩を
綴る哀れよ





+ 蒼 +
儚くも
蒼の深きは
紫陽花の

色にも似たり
雨の露草





+ 竹林 +
目覚めれば
雨と思いて
眺むれば

風を孕みて
笹は鳴くなり





+ 宵宴 +
夜に映え
艶やかなりき
花も散り

水面を染めて
逝くを惜しむや





+ 心ここに +
花ゆきて
実を残したる
夢もあり

我が身尽きねど
想い忘れそ




+ 月光 +
蒼白の
風を孕みし
月光の

滴る様は
夢の後先





+ 散葉 +
北風に
なすすべもなき
落葉樹

命早めて
散る葉哀れよ





+ 回想 +
山里の
籾焼く香り
懐かしき

記憶の果ての
想い巡りし





+ 朱華 +
野辺を染め
燃ゆるごときに
華ありて

墓標を抱きて
言も無きかな





+ 秘彩 +
故郷と
君失いて
まほろばの

思い埋めて
落ち葉降り積む




+ 深秋 +
紅葉降る
空の高きに
青ありて

澄みたる風に
心染み入る





+ 失言 +
囁きも
饒舌ゆえに
嘘と知り

続く言の葉
耳に届かず





+ 無影 +
希望(のぞみ)果て
心は渇き
涙枯れ

掻き抱きたる
虚無の残像





+ 霖雨 +
秘めたるは
伝える術も
無き想い

ただ憂愁の
雨となるらむ





+ 疵 +
今一度
振り向きたるも
道はなく

ただ荒涼の
曠野(あれの)なりけり




+ 風舞 +
風の舞
野辺に立ちたる
吾髪の

乱れ怪しき
夜叉の如





+ 虚空の命 +
髪を梳(す)く
鏡の中の
暗き瞳(め)に

消えぬ哀しみ
あらためて知る





+ 春は無きかも・・・ +
窓辺にて
桃花の散るを
眺めつつ

一片(ひとひら)ごとに
想い結びつ





+ うたかた +
此処にさえ
笑顔のような
表情(かお)ありて

さりとてそれも
虚無となるらむ





+ こととふ +
絶唱の
言の葉借りて
伝えども

さもありらむと
想い届かず




+ 蒼碧の刻 +
紫陽花に
暫し見とれし
我こころ

明日も過去にも
替われぬ命





+ 宙〜そら〜 +
雲ありて
空と知らしむ
深き青

過ぎ去りたるは
宙(そら)となるらむ





+ 夕景 +
街角の
舞い散る落ち葉
黒髪に

暮れ行く空に
何を見るらん





+ 水無月 +
一輪の
花にも似たり
憧憬の

花散りゆかば
果ての無き雨